M&Aでの売買価格の決め方

こんな会社がこんな価格

M&Aにおいて理論上の譲渡価額を算出する要素は大きく分けて3つ、資産内容、業種、将来性によって計算がなされます。
この基本的な理論価額に加えアナログ的な要素、すなわち買い手が想定している相乗効果やその会社を入手する上での特別に価値のある要素、売り手の事情や売却を急ぐなどの要素。そのようなことを加味して交渉がなされ、理論価額からの増減を経て最終的な売買価額の合意に至ります。
つまり、売買価額を決定する上でもっとも重要でベースになるのは理論価額ということになりますが、それぞれの要素はどのように検討され、売買価額を算出する際の参考にされるのでしょうか。

資産内容によって変わる譲渡価額

通常の物販でも採用される基本的な考え方で、会社の売買価額を決定する際にはまず資産内容が調査され、取引の参考にされます。
会社の資産は無数にありますので、譲渡対象の資産の内容を一つ一つ調べることもデューデリジェンスの大事な目的の一つになりますが、この際バランスシート上に記載されている資産額はほとんど参考にしません。時価を基準にして精査し、再評価がなされます。
代表的な例では、歴史のある会社で高額の電話加入権をバランスシート上に記載されているような場合ですが、もちろん事業譲渡の際には0価値で再評価され、売買価額に反映されることはありません。ゴルフ会員権を始めとした、かつて高額で売買され有価証券の一つとみなされていた資産もほとんど評価されない資産です。
売り手にとっては回収の見込みがあると考えている貸付金などの資産も、利息や元本の支払状況によっては回収不可能で資産価値無しとして減額される可能性が高いものです。
事業に伴い当然発生する売掛金や保証金といった必然性のあるものを除いた債権は、デューデリジェンスの際に非常に厳しく精査され評価されると考えて間違いないでしょう。
そのため、会社や事業の売却を考えている際には予め換金できるものはしておくことが望ましい対処法と言えます。

その他、M&Aの常識で世間の非常識になる考え方に、お金を生み出さない資産は0評価、というものがあります。
例えば郊外に1億円で購入した土地を所有しており路線価も当時とほとんど変わっていない場合、売り手側は当然1億円の評価額を期待しますが、買い手にとっては使いようもなく売れるかどうかもわからない土地は評価の対象になりません。
この場合、会社にとっては無価値でお金を生み出さない資産と考えられ、評価額が大きくディスカウントされる可能性が高くなるでしょう。このような場合もやはり、M&Aに臨む前に換金できるものはしておいたほうが良いと言えます。

業種によって変わる譲渡価額

多くのM&Aでもっとも参考にされる可能性が高いのが、譲渡対象になる会社や事業がどの事業分野に属しているのか、という属性による評価と言えます。この考え方を理解する上で、PER(株価収益率)という考え方を理解しておくと便利でしょう。

PERとは上場企業の株式を売買する際には必ず参考にされる考え方で、 
時価総額 ÷ 純利益 で求められます。
この指標は、その会社の純利益の何倍の価値でその会社は評価されているかを意味しており、言い換えればその会社全体を買収しようとすれば、純利益の何年分の価値と市場で評価されているか、ということを意味します。
時価総額10億円(その会社を買収する総額)÷ 純利益1億円であれば、その会社のPERは10倍ということになり、その会社を買収するために掛かる代金は10年で回収できることになります。
このPERは株式市場でも業種により大きく差があります。
例えば日本の上場企業の2016年12月の平均値は16倍前後ですが、非鉄金属業の平均は44倍。
それに対して建設業の平均は11倍です。

M&Aの目的は単純にその会社の収益だけでも何年で元が取れるか、という数字で決まるわけではなく、その会社の将来に渡る収益の安定性や業界の将来性、今後の成長率(今後さらに純利益が大きくなるという期待)などで変わってきます。
PERを業種別に比較するとそのような期待値の傾向が顕著に現れ、会社の価値を決定づける大きな要素になります。
身近なスモールM&Aで例えれば、街の写真屋さんは将来性が非常に厳しく純利益の3年分でも回収が厳しい事業ですが、高齢者向け宅食ビジネスは今の純利益よりも将来さらに儲かる可能性が0ではなく、場合によっては今の純利益が倍になることも考えられるでしょう。
このように、M&Aでは売買をする会社や事業の業種によってもその売買価額は大きく評価額が変わってきます。

将来性で変わる譲渡価額

業種ごとにPERが異なることは、その事業の将来性をどう見ているのか、という要素も大きく織り込んでいることを意味しています。
今現在の純利益よりも近い将来さらに大きな純利益が上がる可能性が高ければ、そもそも現時点でのPERの倍率はすぐに下がることになるからです。
先に示した例の場合、今の時価総額が10億円で今の純利益が1億円であればPERは10倍ですが、これが近い将来2億円になる可能性が高い将来性のある業種であれば、時価総額10億円÷純利益2億円でPERは5倍となります。

つまり、PERの高い業種は近い将来さらに増益になる可能性があり、純利益の40倍で買ってもペイすると投資家が考えているということになります。 非鉄金属業界の平均PERが44倍というのは、44年間でペイすることを考えているわけではなく、近い将来今よりさらに大きな純利益が上がるために、今の純利益ではなく将来性の純利益で計算して、その評価になっていると考えると良いでしょう。
身近なスモールM&Aで例えれば、街の建設屋さんを買収する際、その売上や利益は大きく増加することは考えづらく、これまでの売上・利益率を考慮した上で買収価額を決めることが無難と考えられます。
一方で今年中に大規模な住宅地の造成が決まっている駅前で小売店を営んでいるお店の場合、住民が大幅に増えることで今現在より将来、より大きな売上・利益が上がることが期待されます。その為、多少割高だと思える譲渡価額であっても、将来性を評価して思い切って買うという余地も出てくるといえるでしょう。
このように、M&Aではその会社や事業の将来性についても、譲渡価額に大きな影響を与えることになります。

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